2011年05月05日
伊豆ヶ岳(いずがだけ)への登山決行が決まったのは、新入生歓迎会(5月2日)の席でのことであった。
新歓の席で澤井先輩と山の話をしていたところ、どこかに登ろうという話になり、急きょ明後日か明々後日のどちらかに登山しようということになった。澤井先
輩が佐相先輩を誘い、3人で登山することとなった。
急な話ではあったが、今はゴールデンウィーク中まっただ中であるし、日帰り登
山出来るらしいので問題はない。
今回登る山は伊豆ヶ岳。埼玉の飯能市にある山である。私は埼玉県民であるが、
そんな名前の山は今まで一度も聞いたことがなかった。提案してきた澤井先輩自
身も最近知った山らしく、"鎖場"というキーワードで検索して辿りついた山が伊
豆ヶ岳であったということらしい。
鎖場といえば、昨年6月に嶋田先輩と澤井先輩が登った乾徳山(けんとくさん)
が思い浮かぶ。私は登れなかったのだが、後で嶋田先輩や澤井先輩から乾徳山の
鎖場の様子を聞いてから鎖場に興味を抱いていた。そういった意味でも鎖場のあ
る伊豆ヶ岳に登るというのは非常に楽しみであった。
ちなみに登山コースは、正丸駅-山頂-吾野駅である。
5月5日 当日
8時半に正丸駅にて澤井先輩と佐相先輩と合流し、出発する。出発後、すぐに舗
装道路から山道へと入った。いかにもな山道に興奮し、テンションが上がる。登
っていく道は遠目には山道にはとても見えない。遠目でなくとも、本当に山道な
のか不安になるような場面に幾度となく遭遇した。しかし、それがまた楽しくも
あった。綺麗に整備され舗装された山道を登るのも悪くはない。けれども、
私は急勾配で木の根っこだらけ、あるいはゴツゴツとした岩肌の、遠目には道に
見えない山道を全身の神経を張り巡らせて登る方が好きなのである。おそらく
、鎖場が好きな澤井先輩も私と同意見なのではないだろうか。また、澤井先輩の
伊豆ヶ岳への突然の誘いにのった佐相先輩も、おそらく同意見であると思われる
。
途中、何度か休憩を挟み、伊豆ヶ岳の目玉とも言える鎖場へと辿りついた。ここ
まで登山開始からおよそ2時間であった。鎖場のインパクトは凄まじく、テンショ
ンはさらに上がった。 ちなみに山頂へはこの鎖場を通っていくルートの他に、別
のルートが存在する。高齢の登山者を含め、多くの登山者がこの別のルートから
山頂を目指していた。後で調べてみたところ、鎖場の斜度は45度で長さは50mとのことであったが、その場
ではほぼ垂直に感じた。澤井先輩を先頭に、間隔を開けて私、佐相先輩の順で登った。
澤井先輩は乾徳山での鎖場の経験があったためか、軽々と登っていた。佐相先輩
は鎖を片手で掴みつつ、余裕の表情で先頭を登る澤井先輩、私の姿を写真に収めていた。
鎖場の頂上からの景色は最高であった。天気が曇りであったのが少し残念に思えた。
伊豆ヶ岳の山頂へはこの鎖場を越えてすぐにある。山頂の標高は851mである。
正丸駅から山頂までおよそ3時間かかった。
山頂は他の登山者で少し混雑していた。記念撮影を済ませ、適当な場所を探して昼食をとることにした。
辺りを見回してみると、私たち以外にも山頂で昼食をとる登山者が見受けられた。
昼食は定番のカップ麺…と餅である。春休み中に手にいれたトースト&餅焼きバーナーパッドの性能を試したくて私が勝手に持ってきたのである。
結果としては気温約10度の環境下でも、時間をかければちゃんと焼ける事が証明された。防風対策をきちんと施し、寒冷地仕様のガスカートリッジに替えれば、
もっと早く上手に焼けるものと思われる。次回また試そう。
山頂で食べるカップ麺は身に染みた。体も温まり、体力も少し回復した。
時間に余裕があったので、昼食には時間をかけて1時間程とった。
たっぷり休憩したのち、片付けを済ませ、下山を開始した。
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最終目的地である吾野駅に着いたのは午後3時過ぎのことであった。出発地点の
の正丸駅から吾野駅までおよそ6時間半かかった事になる。
下山中での出来事は尺の関係上、省く事にする。ただ、佐相先輩と澤井先輩は最
後まで元気であった事は述べておこう。特に佐相先輩にいたっては、近道と言いつつ、
道ではない道を猛進していた。そのためか、佐相先輩の靴に異変が起きた。破れたのである。
しかし、それでも尚、佐相先輩は猛進していた。
吾野駅にて澤井先輩、佐相先輩と別れた。佐相先輩はあの破れた靴を履いたまま
家に帰ったのであろうか。
著_恒屋